じゅ

セルビアン・フィルムのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

セルビアン・フィルム(2010年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

最低
本当に最低

最低でまじで気持ち悪くてなんかよくわかんないけど腹が痛い。
だけど、視聴後に手持ち無沙汰にSNS開くなりYouTube垂れ流すなりしてこの気持ちに不純物を混ぜるようなことはしたくない。


ミロシュはポルノ俳優としてその道じゃ知らない人はいないようなスターだったけど、今は一線を退いて妻マリアと息子ペタルと静かに暮らしていた。
そんなミロシュのもとへ、親友のポルノ女優レイアから大きな仕事の話が舞い込む。ヴックミルという、警官の兄マルコにも正体を掴めない男が撮るポルノ映画に参加したミロシュだったが、常軌を逸した撮影はとうとう彼の家族をも巻き込む惨劇へ発展する。
廃人と化した妻と息子と心中したミロシュの傍には、一度ヴックミルの邸宅で見た男と撮影クルーの姿。


何が起こってた?
・10代前半くらいの娘の前で裸に剥いた母親を殴りながらしゃぶらせる
・ホームビデオを観ながらしゃぶらせる
・産まれた瞬間で全身に母体の血が付いたままの新生児にねじ込む(赤ん坊の泣き声というか絶叫がおぞましい)
・催淫剤入り拘束首狩りファック
・薬で酩酊しているところをヴックミルの助手の警官にめっちゃ掘られる
・ミロシュの扱いに異を唱えたレイアを鎖で吊るして歯を全部抜いて鼻塞ぎイラマで殺す
・首狩りファックで殺した女の娘とやらされるところで逃げ出すも催淫剤の効力に抗えず道を歩く少女で抜こうとする
・逆にミロシュに催淫剤を打たれた助手の女が文字通り死ぬほどパイプとやりまくる
・顔と上半身に布を被せられた人物2人を相手にミロシュが一心不乱に腰を振る。子供っぽい体つきの方の穴にまずいかんじの音を上げながら強引にねじ込むと、もう片方の大人っぽい体つきの穴にはレイアを嬲り殺した覆面男が挿れ出す。ヴックミルが覆面男の覆面を取ると、その正体は兄マルコ。兄と弟が夢中になって挿れている穴は、薬で朦朧としている妻マリアと泡を吹く息子ペタル。
・ヴックミルの頭を床に打ち付けて砕いてお付きの警官を撃ち殺し、ヴックミルの右腕の男の目に男根を刺して殺すミロシュ
・マルコの首を食いちぎって石の置物で頭を潰すマリア
・完全に廃人と化して何もできなくなった妻と息子を抱きしめたまま銃で3人を貫き心中したミロシュ
・心中したミロシュとマリアとペタルの死体の前でカメラを回して「まずはガキからだ」と手下に死姦させようとする男

犠牲者は高く売れるとか我々もこの国自体も犠牲者だとか、スルジャン・スパソイェヴィッチは何を抱えてるんだろうな。
NEWBORN PORN!!じゃねえんよ。
例えば父親から性的暴行を受けて孤児院に入ったとか、国自体に特に警官による強姦事件が多いとかあんのかな。

ヴックミルがミロシュにやらせようとしてた孤児院の少女は、元々戦地で死んだ彼女の父親が犯すはずだったそう。少女の祖母も父に犯されたらしい。そしてミロシュはついには我が息子の肛門にねじ込んで犯した。あとヴックミルが開拓した新生児ポルノとかいう終わってるジャンル。
少女の祖母は自分がやられたことにも孫娘がやられることにも肯定的な態度だった。ヴックミルは兄弟で妻子を犯す光景を撮って「これが幸せなセルビア人家族だ!」と。
スパソイェヴィッチ自身が子どもの頃に父親か誰かから性的暴行を受けたトラウマが暴走したようにしか見えん。我々は皆犠牲者だみたいなことヴックミルに言わせてたし、ヴックミルにスパソイェヴィッチ自身を投影してるように見える。そんな背景なしにこんなん撮れんて。撮れてたまるか。

警察とも何かあったのかな。
撮影現場で実際にカメラを回していたのは警官で、薬でぶっ倒れているミロシュを犯したのも警察で、レイアを拷問して嬲り殺したのもマルコ(警官)で、最後にマリアを強姦したのもマルコ。
ペタルの死体とやろうとしてた彼も警官なのかな?制服なのかわかんなかった。
警官にも何かされてそれがこの国じゃ日常茶飯事だって思うようになったとかあるのかな。

いやなんかもう、そっとしとこう。
仮にヴックミルがスパソイェヴィッチの投影だったとして、ヴックミルがミロシュに殺されることまでを含めての"芸術"で"人生"て。俺らみたいなただの人なんかから遠くかけ離れすぎてしまってる。あるいは心理学の研究職で公安警察だかに所属していた近しくて憎い誰か(例えば、もしかしたら父親)のおぞましさを描いて殺したか。


悪い意味でこんなにも心が動く作品は俺は今のところ他に知らん。美学やルールがない空虚さはなくてむしろその真逆で、目に余る不十分さによる偶発的な不快感じゃなくて、しっかり作り込まれて洗練されまくった嫌悪感がミッチミチに詰まってる。
個人的に強烈に印象に残ってるのだと『ファニーゲーム』なんかがあるけど、あっちは暴力で人の尊厳を好き勝手に捻じ曲げることについて突き詰めた純粋なタイプの嫌悪感の怪物だったのに対して、こっちは様々なキモさを混合しまくって姿形がぐちゃぐちゃに崩れ落ちた魔物だった。ドラクエ7のオルゴ・デミーラ第4形態だった。
最低でまじで気持ち悪くて本当に凄い。
これU-NEXTで990円は安すぎるなあ。


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【2022/11/08追記】
BD買ってしまった...。
じゅ

じゅ