茜

女優霊の茜のレビュー・感想・評価

女優霊(1995年製作の映画)
2.9
中田秀夫監督のデビュー作を今更ながらに鑑賞。
やっぱり一昔前の邦ホラーって、画質の悪さも相まって、じっとりした不気味さがあって良いな。

映画の撮影中、役者の後ろに「笑う女」がぼんやりと映り込む。
白い服に黒いロングヘアという姿は非常にベタな幽霊像ではあるんだけど、まさに貞子の原型とも言えますね。
ロケバスに乗っていたり、鏡ごしにふっと映りこんだり…どれもハッキリとした形で見える訳じゃないから、一瞬「?」となって凝視してしまう。
この曖昧なぼんやり感って、まさに邦ホラー特有の表現だし、じわじわと心が不安定になる怖さがあってとてもいいです。

ただ映画自体はめっちゃ面白かったかと言えばそうではなくて、デビュー作らしく今一つ惜しい感じ…。
個人的には幽霊があまりにも元気に笑い過ぎるもんだから全く怖く感じなかったのと、終盤で幽霊に襲われる人物が「アン!アン!!アーーーーーン!!!!」って喘ぐのに爆笑しちゃってもう完全にギャグ化してしまった。

多くの人が触れている点だけど、終盤の幽霊の使い方をもう少し考えてくれたら凄く好きな一本になっただろうな~と思う。
終盤でがっつり見える幽霊の顔もあんまり気持ち悪くないし、終わり方もしっくり来なくて特別な余韻は残らなかった。
ただ若干ミスマッチな古臭いBGMは独特な味わいがあって好き。
茜