凡人

一人息子の凡人のレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
3.8
たったひとりの息子にすべてを注ぎ、
自分の幸せを息子に任せっきりだった母親の末路。

淡々と進み、
モノクロで味気なく、
気持ちを煽るような演出は一切ないのに、
こんなにもずっしりと胸に残るのは、
やっぱり緻密な脚本あってかな。

老体で長野から東京まで来たと思ったら、
憧れの人は落ちぶれて、息子から何の報告もなかった10数年も突きつけられた。

息子の本心を聞いて眠れぬほどに思い悩み、自分の人生そのものが無駄だったかのような徒労感を覚えた母親は、
結局その気持ちが晴れることなく長野にひとり戻って、ひとり働き、このまま死ぬまでの時間を過ごすことを自覚したように見えた。
ここから日本は戦争に突入していく。
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