taia

一人息子のtaiaのレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
-
信州に住む成績優秀な少年が、学校の先生に勧められ母の期待を背負い進学と上京を志す。十数年後、母親は息子に会いに行くが、不況時代の為、息子は当時としては不安定な夜学教師となっており…

主演はなんと「長屋紳士録」の飯田蝶子さん!(覚えたて) なので擬似親子だった彼女と少年の、親子だった場合のパラレルストーリーみたいに見れて少し別角度で楽しんだ🤭

大人になった一人息子の笑った顔が竜星涼に似てて別の時代の人に恋するかと思った()。所々家父長の雰囲気を感じつつも、お金を借りてでも母親にご馳走を振舞おうとしたり、晩食のラーメンを買いに自ら出かけたり、妻子のことも気にかけていて今のワンオペ育児の男親より優秀良心的なのでは? などと皮肉を飛ばしたくなる素敵男でした。

長屋紳士録のようなコミカルさはなく、全体的に淡々とシリアスな話だったけど会話の妙に惹きつけられた気がした。
あと同じような(夢を持って上京した息子に母が会いに行く)話て、昭和後期や平成だとだいたい放蕩息子でその日暮らししてても悪びれもせず親に金をせびる…みたいなのがステレオタイプになりそうなのに(ド偏見)、本作では息子がずっと自分のことを不甲斐なく思ってて母親に羽振り良く振る舞うことでそれを隠そうとしてる感じが新鮮でした。
途中まで背筋を伸ばして隙の無いようにさえ見える息子が、後半母親と二人きりになった時背筋を丸めて三角座りした瞬間幼く見えた時のびっくりは忘れずに書き記しておく。全体的にそういう、役者のさりげない仕草が目を見張る作品でした。
あとみんなラーメンめっちゃ綺麗に食べる。三者三様であんな綺麗に食べることある??

こちらは4Kでなく2K版でした。前の上映と比較して思わずデジタル修復版のクオリティの高さと現代技術に感動しました。
taia

taia