Automne

青いパパイヤの香りのAutomneのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.8
ベトナム戦争より数年前の、サイゴンで屋敷奉公する少女の成長を描いた本作。
もうもうと香ってくるような青臭いベトナムの自然や人々の暮らしが繊細に描かれていて、極私的タイプの映画でした。

蛙、蟻、パパイヤの樹、虫の声、汗ばんだ肌と初夏の季節、雨。
音楽をほとんど廃して自然の音だけで構成されているがゆえに、飛行機の音が自然を破壊するように響き渡る。数年後にベトナム戦争が勃発する分、米軍の戦闘機をなんとなく彷彿とさせるような轟音。

ムイの憂鬱で純粋で真摯な瞳が好き。淡々と召使いをこなしていたら、その真面目な姿勢が報われてゆっくりと幸せに近づく。
良いことも悪いことも乗り越えて、生きてゆく。
戦前ベトナムのとある庶民の暮らしを描いた名作です。
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