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青いパパイヤの香りのfleurのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.7
すべての場面がどこを切り取っても美しく、絵画のように艶やかな情景にうっとりした。小さな生き物にも目を遣るムイの優しさがとても美しかった。小さい頃に蟻をずっと眺めてしまうムイに対して蝋を垂らして蟻を苦しめる次男坊。その対比がムイの優しさを際立たせていた気がする。ムイは使用人という立場ではあったけれど、たくさん愛情をかけられながら暮らしていたのだろうな、とわかる奥様との別れのシーンが切なかった。最初のお家も調度品が美しかったけれど、グェンの家はフランスのコンセルバトワールに留学していたからか、ヨーロッパの匂いがする調度品のしつらえでまた違った美しさで好みだった。窓の装飾や遠くからそっと人物にピントを当てて写す様がちょっとソール・ライターみがあるな、と思った。こういう切り取り方はやっぱり天才的で、出来そうでできないものだよな、と才能に圧倒される。
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