まーしー

コラテラルのまーしーのレビュー・感想・評価

コラテラル(2004年製作の映画)
4.0
タクシー運転手のマックス(ジェイミー・フォックス)が、殺し屋のヴィンセント(トム
・クルーズ)を乗せたことから始まる、不運な一晩を描いたクライム・サスペンス。

何と長い一晩なのだろう。
殺し屋ヴィンセントに指示されるまま、車を走らせていく運転手マックス。
次々に巻き込まれるトラブルは、マックスにとって緊張の連続に違いない。徐々にストレス過多になっていく様子が伝わってくる。
一晩中、悪いヤツと行動を伴にするという点では、『トレーニング デイ』を連想させる。

『トレーニング デイ』では、デンゼル・ワシントンの怪演が光っていた。
本作では、トム・クルーズがいつもと違っていて印象的。シルバーグレイの髪、たくわえ
た髭、そして、本人初の悪役。そこに、いつもの爽やかなトム様スマイルはない。
次々と人を殺していく冷酷無比なヴィンセント役は、俳優トム・クルーズにとって、新境
地の開拓に至ったことは間違いないだろう。

演出も細かい。
ヴィンセントが人を追跡するのに、椅子に躓いてコケそうになるシーンはその最たる例。
NGのように思えるワンシーンが、逆にリアリティを醸し出している。
『ヒート』のマイケル・マン監督らしく、男の匂いが作品全体に漂っている本作。
トムとジェイミーが引き起こす化学反応は、観る価値ありだと思う。