いままでマイケル・マン作品は何となく避けてきたのですが、単なる食わず嫌いだったことが分かりました。ちょっと恥ずかしいけど期待していなかった分、掘り出し物を得た気分です。
セリフのセンスはいいし、アクションシーンは見応え十分。キャラクターも深く描かれていてサイコーじゃないですか。
すご腕の殺し屋を乗せたのが運の尽きのタクシー運転手。一晩で5人を殺害する仕事に無理やり付き合わされるチョー最悪な一晩を過ごすお話……。
タクシーの中って狭い空間を名前も素性も知らない人同士が共有する特殊な環境。ドラマチックな展開に持ってこいの設定なんでしょうね。
ベテランのタクシー運転手に扮するのがジェイミー・フォックス。独立して起業する夢はあるけど行動に移せていないでいる普通な人を演じてます。それでも人間味溢れたいい人。
一方で一般人でも躊躇なく銃撃してしまう冷血な殺し屋を演じるのがトム・クルーズ。完璧を求めるザ・プロフェッショナル。目的達成のためには一切の迷いなく最短距離で進むタイプ。
実行に移せていない人と、ためらいなく実行に移す人。相反する2人が一晩過ごすうちに、お互い影響を受けてあっていくんですけどこの2人の心の変遷にグイッと引き込まれました。
特にトム・クルーズの演技が絶妙でした。珍しく悪役なんだけど新鮮味のあるキャラクターに心惹かれます。