このレビューはネタバレを含みます
渡辺謙さんの演技が素晴らしく、リアリティーがあるぶん、「感動押し」と呼べるような演出で「あ、なんだこれフィクションだったわ」と我に返されるのがざんねんでした。
たとえば、ラストで陶芸の先生と器を焼くシーン。あれだけ身の回りのことも、娘の名前さえも忘れがちだった主人公が、何十年も前に会った先生をわりとすんなり思い出すのはちょっと違和感があったし、あの場所に奥さんがひとりで、たどりつくのも、現実的に考えたらちょっとむずかしくないか…とかとか、いろいろつっこみをいれながら観てしまって、感情移入できなかった。
病気ものの映画って、ほんとうに真摯にリアリティーを追求していないと、お涙ちょうだいの物語に病気が利用されているふうに思えてしまって、なんかそれってどうなの?と思ってしまうんですよね。自分がその病気の当事者でも、「よく作ってくれた!」と思える映画でないと、なかなか感情移入できないのだなー。もちろん、こういう病気があるんですよと多くの人に知ってもらうには映画はとてもいい方法だとおもうけども。