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明日の記憶のmusashinotamaのレビュー・感想・評価

明日の記憶(2005年製作の映画)
3.9
若年性アルツハイマーを発症した広告代理店の剛腕プロジェクトマネージャーと彼を支える妻の物語。

二人の穏やかだが固い結びつきを暗示しているのが焼き物の茶碗をめぐるエピソードだろう。

渡辺謙と樋口可南子の盤石の演技のおかげで、重いテーマでも最後までついていける。

認知症についての啓蒙を意図した部分(患者の振る舞いに対する家族の対応など)が目に付くが、ドラマを損なうほどではない(観客としては参考になる)。

個人的には、夫の発病が妻の自立をうながし、家族の介護から施設での介護という決断へとつながっていくところに、この作品のメッセージを感じ取った。

後半、カメラの視点が三人称から一人称に入っていくあたり、もう少し観客にヒントを出してくれていたら、違和感が少なかっただろう。ここが残念なので4点には届かなかった。

とはいえ、プロローグと、それに始まる長いフラッシュバックを締めくくるエピローグとの照応は心に残った。

(連想する映画「アリスのままに」)
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