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ブレア・ウィッチ・プロジェクトのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

1994年10月、大学の映画学科に通う三人の学生、女性監督のヘザー、録音担当のジョシュア、カメラ担当のマイクは、その土地に今なお残る伝説の魔女「ブレア・ウィッチ」を題材としたドキュメンタリー映画を撮影するために、メリーランド州のブラック・ヒルズの森に向かうが…。

劇場公開時以来の再鑑賞。
6万ドルという超低予算で製作されながら、口コミで公開が拡大し、世界興行収入2億4800万ドルという記録的大ヒットをたたき出したフェイクドキュメンタリー風(モキュメンタリー)ホラー映画の先駆的な作品。

素人が撮影した体での手ブレ映像がドキュメンタリータッチとなる。
公開当時は、そんなホームビデオのプライベートを覗くような生々しい映像での作品はまだ無く、リアリティを感じたものだった。
その中で登場人物たちの内面的な恐怖が描かれ、とても怖かった思い出がある。

今となっては膨大な数の亜流が生まれ、YouTubeで本当の素人ですら本作の物語と同じようなことをしている。
散々擦られまくり、そこら中にネタバレが転がっているようなものだが、本作は「これは本当の出来事だ」「ドキュメンタリーだ」と思って見ることが肝心。
それが出来るかどうかで楽しめるか、そうではないかがハッキリ分かれる。
「本当の出来事だ」と思って見れば、今見てもなお秀逸な作品である。

撮影のため森の中に入った三人が消息を絶った。
手掛かりが発見されないまま、やがて捜索は打ち切られる。
しかし事件から1年後、彼らが撮影したものと思われるフィルムとビデオが、森の中で発見された。
映画は彼らの撮った映像の内容を編集したものである…というファウンドフッテージの設定も当時は少なかった。
(記憶に深く残っているのは「食人族」くらい)

映像には不可解な現象に巻き込まれ、恐ろしい体験をする彼らが映っていた。
さて、彼らはどうなってしまったのか?
もし死んだのならば、誰がどうやって?…という謎が興味を唆る。

付近の住民達へ、森の魔女についてのインタビューを行った3人はブラック・ヒルズの森でテントを張って泊まり込み、撮影を進める。
神霊現象が次々と起こり、車に戻ろうとするが、地図をなくして道に迷い、連泊を余儀なくされる。
彼らの死を暗示するかのように積み上げた石の山がテントの前に出現。
森を彷徨い、歩き疲れた3人は、木にぶらさがった呪いの人形のような大量のオブジェを見つける。
寝ている間に何者かが近づいており、いつ襲われるか分からない恐怖が迫る。

さらにはマイクが「地図は役に立たない」と地図を捨てたことが判明し、友情も破綻する。
生々しい手ブレ映像がプライベートな本気の喧嘩を見ているかのように錯覚させる。

彼らは何時間歩いたにもかかわらず、なぜか元の丸太の場所に戻ってしまい、パニックに陥る。
ある朝起きると、ついにジョシュアが行方不明に。
彼を探し回り、空腹とストレスで疲労困憊になった2人は、次の朝、ジョシュアの服の切れ端で束ねられた枝の中に、血まみれの歯と髪の毛を発見。

伝説の魔女によってジョシュアが殺されたと確信したヘザーが、罪悪感と死ぬかもしれない恐怖から、遺言のように2人への謝罪の言葉をカメラに残す有名なシーンは、誰も助けには来ない山の中での絶望感に溢れている。
もしも自分の身に起こったらと思うと恐ろしい。

最後の夜、深夜にジョシュアらしき声を聞いた二人は、声を追ううちに廃屋を発見する。
家の壁には、無数の血の手形が。
地下室でまるで何かに取り憑かれたのようにマイクが立ち尽くす姿を捉えた瞬間、
何者かに殴られたのか、ヘザーのカメラが落下した所で映画は唐突に終わる。

彼らはどうなったのか?
何が起こったのか?
彼らを脅かしていたのは何だったのか?
結局は謎のまま終わる。
一体、何を見せられたのか?と拍子抜けする人もいるだろう。

本作には、いわゆる化け物などは出てこない。
それを期待してこの映画を観るならばやめた方がいい。

もしも本作に魔女が登場していたとしたら、それこそ興醒めだろう。
決定的なものが何も写っていないからこそ、より一層、観賞後の恐怖の余韻と想像力をかき立てるものとなっている。

手ブレ映像に酔ってしまうのが難点ではあるのだが、それだけ緊迫したリアルな恐怖、焦燥感が画面を支配している。

思えばモキュメンタリーというジャンルを一躍世に知らしめたのは、この映画。
やはりこの作品が原点であることに変わりないし、また同ジャンルにおいては傑作であることは間違いない。
もし、何も知らずに観て、本物のドキュメンタリー・フィルムだと勘違いした場合の恐怖感は相当なものだろう。
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