松井の天井直撃ホームラン

死刑台のエレベーターの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

死刑台のエレベーター(2010年製作の映画)
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※ 鑑賞直後のメモから

オリジナルは言わずと知れたサスペンス映画の傑作。
今回何と日本でリメイクとゆう神をも恐れぬ事に…くわばらくわばら!
そして出来上がった作品は…。

お馬鹿映画でした〜(^^;;

オリジナルは傑作…とは言っても、実は意外と穴だらけの完全犯罪だったりするんですが。今や伝説のマイルス・デイピスの神がかり的な即興演奏に、アンリ・ドカエの素晴らしいモノクロの映像美。それにジャンヌ・モローのクールビューティーな佇まい。総てが奇跡的な融合を果たした…と言っても良い内容でした。結果的に穴の有った箇所を消した訳だったのですが…。
今回のリメイク版では、その辺りの不自然な計画をセリフや映像等で説明。不自然に見えない様に努力している。でもやっぱり計画自体がちょっとお粗末なんですけどね。
でもそれ以上に問題なのは、北川景子と玉山鉄二のカップル。
これオリジナルはどうだったんだっけな〜。北川景子と阿部寛は顔見知りなのですが、時代が現代だけに携帯電話の処理の仕方には。「顔見知りなのにそんなの有り得ないだろ〜!」と思う事必至。大体車を乗り回す時点でちょっと変なんですけど。まあ!百歩譲って、恋人役の玉山鉄二のキャラクター設定が車を奪ってしまう役だから…って事で納得するしか無いですけどね。それにしても玉山鉄二のキャラクター設定は、その立場的に考えても、一連の行動が全く理解出来ない。
実はこの辺りもオリジナルの記憶は曖昧であまり覚えてはいない。
どちらかと言うとジャンヌ・モローが夜の街を徘徊し、それにマイルス・デイピスの即興演奏が被さる。その強烈なイメージが脳内に植え付けられてしまっていて、細部の部分は記憶から抜け落ちてしまっているのだ。

そんな前半なのだが、吉瀬美智子だよなあ〜やっぱり。
この人ってどうしてこんな変なんでしょうね。オリジナルがジャンヌ・モローだから、比べてしまうとどうしてもスッポンでしか無いのは、間違い無いところでは有りますけどね。ずぶ濡れになる場面等は「どぶねずみかよ〜」…と。
何だか存在自体がどの作品の演技を見てもお馬鹿っぽいんだよねえ〜。

そんなこんなで夜が明けて事件が明るみになると。吉瀬美智子の馬鹿っぽさが出演者全員に乗り移ったかの様に、ここから一気にお馬鹿映画丸出しの展開が始まって来る。
阿部寛渾身のコメディ演技が弾け、北川景子も吉瀬美智子を見習うかの様にどぶねずみに変身する。もうこの辺りはゲラゲラ笑ってしまう位に、映画全体が何か変だ!
監督が狙ってやってたとしたら凄いんだけどな〜。

そんなこんなで、オリジナル同様にサスペンス映画として観たら駄目でしょうね。でも「これはコメディなんだ!」と思いながら観たら、その何となく“妙な”感じをすんなりと受け入れ易いと思います。

(2010年10月11日TOHOシネマズ西新井/スクリーン1)