19世紀の英国を舞台に理性的な姉と情熱的な妹の恋愛模様を描く、いかにもジェイン・オースティン原作らしいユーモアと英国情緒に溢れた文学作品。
家督を相続できないジェントリ階級の女性、しっかり者で控えめな長女と奔放で情熱的な二女、彼女たちを巡る男性をはじめとした登場人物、時代背景などの基本構成は『傲慢と偏見』と非常によく似ていたというかだいたい同じなので、途中から展開は予想できてしまった。
原題は『分別と多感』、原作はなんとこちらの方が『傲慢と偏見』より先だそうで。
同年に片や映画、片やBBCドラマで映像化されるとは、ジェイン・オースティンの人気恐るべし。
今作では脚本も手がけ主演も果たしたエマ・トンプソンはもちろんキャスティングがとにかく豪華。特に『タイタニック』以前のケイト・ウィンスレットの瑞々しさが眩しい。やけに控え目で物静かなヒュー・グラントやアラン・リックマン、他にも賑やかしのご近所さんに至るまで英国俳優の超ベテラン勢が多数名を連ねる。さすがにみなさん演技に安定感があって素晴らしい。
そして今作も英国の田舎特有の風景の美しさ、お屋敷の装飾、衣装や小物など、眼福な映像にとことん魅了される。18世紀の建造物や庭がほぼ当時のまま現代まで維持されているの本当に素敵だな。
