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逃亡列車のmhのレビュー・感想・評価

逃亡列車(1966年製作の映画)
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ソ連対日参戦から逃げるように南下する関東軍にあって、逃亡兵の追跡を頼まれ北上した石原裕次郎演じる少尉の大活躍を追うエンタメ映画。
穂高のザイルうんぬんの会話から、おそらく大学の山岳部OB設定か。終戦が近い時期に少尉なので、学徒兵か兵学校をでたばかりのいずれかであることは明白。どっちにしろ青年であるはずなのに、中肉中背中年の裕次郎は、まあしかたないか。
敵のゲリラは国共軍ではなく匪賊という設定。
中盤で8月15日をむかえて、合流した民間人(女生徒の貞操を守るという目的も発生)ともども、帰国に向けて急いで脱出することになる。
修理不可能と思われた機関車を、どうにかして走らせようとするのだが……。
大まかなストーリーは万全なわり、裕次郎はなんでもできたり、脱出直前になって手術をはじめたり、普通にしてりゃあ助かるのに女生徒のいる貨車に乗ろうと思ってやられたり、ちょいちょいご都合主義がカットインしてきて、物語に没頭するのを邪魔してくる。
列車を使った脱出劇の画的なかっこよさは「兵隊やくざ(1965年)」で見た通り。公開年から推察するにあのくだりを膨らませて、先にカラー映画でやっちゃったのかもしれない。
ほぼ同格扱いの伊藤雄之助のキャラ設定も、兵隊やくざフォロワーだと考えると腑に落ちんだよねー。
現在の映画界ならありえない話も、プログラムピクチャー全盛期なら十分起こり得る話。
ゆくゆく大宮一等兵と有田上等兵も「兵隊やくざ 強奪(1968年)」で中国大陸から脱出するようになるんだけど、石原裕次郎にこの映画で先こされている。
「洲崎の妓夫太郎」「二股膏薬」など、いまじゃほぼ使わない古風な名詞もでてきて楽しかった。
長く視聴困難だった日活映画は感想のアーカイブが貧弱でググり魔泣かせだね。
面白かった!
mh

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