ゆみモン

逃亡列車のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

逃亡列車(1966年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

初めはちょっと馬鹿にして軽い気持ちで見始めたのだが…なかなか面白く感動的だった。

戦争は終わったからといって、それでめでたしめでたしとはならない。特に戦地にいる者にとっては、兵士も民間人もこれからどうやって日本に帰るかという新たな闘いが始まるのだ。

満州の鉄道を守る部隊が、日本の敗戦を知らされる。敵の捕虜になるくらいなら全員自決…とならないで、なんとかして全員で帰還しようとするのがいい。壊れている機関車を手持ちの武器で修理して満州から脱出するという、ややファンタジーめいたストーリー。
汽車の修理にメンバー各自が特技を生かして取り組む。銃器を解体して穴だらけのボイラーの直し方を発明、砂糖使ってカルメ焼みたいなコークス作ったり…。そんなに上手くいく訳はないのだろうが、見ていて応援したくなるシーンだ。

後半になって仲間がバタバタやられていくのは残念だ。が、もうダメかという状態の時に隠し武器を見つけて反撃に転じるどんでん返し。

主役の石原裕次郎は、見た目はややふっくら?で、敗戦直前の兵士には見えないが、何でも出来て判断力に優れていて、カッコ良すぎる。
しかし、この作品では、初めは敵の中国人かと思われていた(実は脱走兵)伊藤雄之助が、裕次郎の役を食うぐらいイカしてる。最後の最後までカッコつけて、亡くなった兵士の認証票を受け取らず(それでなりすませば脱走兵だとバレず皆と帰還できるのに)、一人汽車から飛び降りるのだ。

数多くの戦争映画を見たが、こういう視点もあるのだと、感心した。残酷なシーンもあるし、ツッコミどころも多いが、エンタメ性もあり考えさせられる点もあった。