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落ちた偶像の一人旅のレビュー・感想・評価

落ちた偶像(1948年製作の映画)
3.0
キャロル・リード監督作。

英国の小説家:グレアム・グリーンの短編小説「地下室」を巨匠キャロル・リードが映画化したもので、執事夫人の転落死を巡る心理サスペンスです。助監督にガイ・ハミルトンのクレジットを見付けることができます。

ロンドンにある某国大使館を舞台に、同僚の若い女性タイピストと不倫関係にある大使館執事の夫人がホールから転落死した事故を巡る当事者たちの心理劇を描いたサスペンスですが、大使の息子である少年の視点で物語が進行していく点が特色となっています。

無垢な少年の発言によって事故の捜査があらぬ方向へと動き出してしまう展開がユニークな室内サスペンスであり、大人に翻弄される穢れなき少年の目を通じて、欲望と愛憎渦巻く大人の世界の偽善と嘘を暴き出した気鋭の古典作です。
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