三樹夫

DEATH NOTE デスノート the Last nameの三樹夫のレビュー・感想・評価

2.8
一応テーマとしては私刑は許されるのかどうかみたいなことになるのかな。ただ前提条件がガバガバ過ぎでテーマとして成立してないけど。キラは保身のために犯罪者以外もバンバン殺すし、反対意見の者を次々殺していく独裁者でしかない。キラ信者に関してもこんなただの独裁者でしかない奴がここまで広範囲にさすがに支持されないだろうというので、ポリティカルなディストピアものみたいなのをやりたかったのだろうが、あまりにもアホ過ぎでリアリティが無く絵空事過ぎる。理想の世界とかってただ特殊能力持ちの独裁者が君臨してるだけやんというのでキラ信者はとことんバカに見えたな。キラ信者って私人逮捕系Youtuber信者と一緒だし。ただ私人逮捕系Youtuber信者って実際にいるのでこの映画が100%嘘にならない現実世界は何気にディストピアということかな。
キラ対Lの頭脳戦はどうでもよさそうで、頭脳戦パートに入ると途端にテンションダウンしている。藤原竜也と松山ケンイチが出ているシーンが一番面白くない。ではこの映画は何に注力しているかというと戸田恵梨香で、戸田恵梨香を全力で撮っていた。戸田恵梨香が出てきたらやる気を出し始める。監督の過去作の『1999年の夏休み』と『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』を観ればなぜ戸田恵梨香に全力投球するのか分かるが監督の少女趣味で、拘束されている戸田恵梨香とかあんなのただの趣味やん。アイドル役にしては声汚かったけど戸田恵梨香が異常に可愛い映画になっている。
ただミサミサのキャラ造形とか扱いが結構酷いがこれでも原作よりましで、なんでそうなっているかというのは『バクマン。』も読めば分かるが、大場つぐみのミソジニーなのよね。ミサミサのキャラ造形は、昔のアイドルが歌ってたような、私はあなたのロボットですみたいな男にもの凄く都合のいい女性像で、当時からしても前時代的だし、月のミサミサの扱いとか酷い。

なんでこの映画は2時間20分もあるんだろ。テレビ局出資だしどうせテレビでやるんだから短い方がテレビ局も得だろうに。起伏もないダラダラした画が続くのに2時間20分もいらん。長ければ大作感があるとか思っているんだろうか。オープニングクレジットの英語表記を観れば分かるが外国に持っていく気満々で、ただこの出来で外国持っていく気かよ、止めておいた方がいいよとなる。2000年代からの邦画バブル期は外国に持っていく気満々の邦画がたくさん作られたが、途中退席されたり嘲笑されたり悲惨な結果だったらしい。『海猿』の主人公が携帯電話を使ってプロポーズするシーンは日本では大号泣だったのが、NYでは「こんな状況下で携帯を4、5分も使いプロポーズまでする」と爆笑されたとのこと。
藤原竜也の演技って大仰だな。ラストなんかひたすら「んぬ~んぬ~」って叫んでるだけやん。笑ったけど。
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