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祇園囃子のbrianのレビュー・感想・評価

祇園囃子(1953年製作の映画)
4.6
京都の色街・祇園を舞台に芸妓とそれを取り巻く人々の生き様を描いた人間ドラマ。

京都は寺院や博物館などに行ったことはあるけれど、祇園は行ったことがない。敷居が高いし、身分も金もない。小市民の端くれ。これからも行くつもりはないしそういう付き合いもないだろう。

この作品は芸妓の華やかな世界と裏側の世界をしっかりと描いている。溝口監督の妥協しない演出が際立っている。
地位も金銭も余裕がある男性の我儘勝手に翻弄される女性。今で言うとセクハラに当たるのか。溝口監督の怒りのメッセージと受け止めひとりの男性として情けない気持ちになってしまった。

小暮美千代は若い芸妓とお客の間の立場で苦悩しながらも芸妓として長く務めてきた自信と他人に対する思いやりのある優しい女性を好演。

あややは当時19歳。初々しくてめちゃくちゃ可愛い。東京出身でありながら京都弁のイントネーションに違和感がない。後に「雁の寺」でも京都弁で台詞を言っている。少女のあややと艶のある大人のあややを聴き比べるのも面白い。

撮影は"名手"宮川一夫。路地裏を低いカメラアングルで撮った映像は幼い頃の自分を思い出して感慨深い。祭りばやしが聞こえる。

監督は「雨月物語」「山椒大夫」「赤線地帯」などリアリズムな作品を数多く手がけた"巨匠"溝口健二。ゴダールをはじめ海外の映画作家に影響を与えた。

「祇園囃子」(1953) 予告編
https://youtu.be/1yd0VkfvcLU
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