健一

カジュアリティーズの健一のレビュー・感想・評価

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)
3.9
WOWOWで放送していたので録画して深夜に鑑賞。

ううっ!これも懐かしい。
恐らく30年ぶり位の再鑑賞。
劇場公開時鑑賞済。

本作の前に撮った「アンタッチャブル」で大成功を収めたブライアン・デ・パルマと コメディ路線からの脱却を目指して本作に挑んだマイケル。
当時 今程有名ではなかったが ジョニー・デップ、ダウニーJr.なんて比じゃない位の 暴れん坊 だったショーン・ペン。
その他 無名時代のジョン・C・ライリー、ジョン・レグイザモ、ヴィング・ライムスが加わった本格派ベトナム戦争物。
当時まだ学生だった私はこの作品を観てかなり衝撃を受けましたが 30年以上経ち 大人になった今見ても その衝撃は変わらずでした。

ベトナム戦争当時 実際に起きた事件を映画化。
敵地の偵察を行う5人の兵士。彼等は途中 農民が暮らす小さな村を訪れ ベトナム人少女を誘拐した上 強姦に及ぶ。
だが ただ一人 新兵だけは その仲間 に加わらなかった。
激しい銃撃戦の最中 少女は誘拐した兵士達に殺され 拒んだ新兵は ことの次第 を上官に報告するのだが・・・

本作の舞台はベトナム戦争だが 恐らく どこのどの戦争 でも同じような事が繰り返されていたのではないか。
戦争は人を狂わす、理性を無くす、人間ではなくなる。
その心理的な恐ろしさを本作は生々しく 偽る事なく真正面から描いている。
かなりショッキングな場面もあるが 戦争を知らない多くの日本人達は こういった戦争の真実も受け止めなければ ならないのだろうか。

若き頃のショーン・ペンがまさに鬼と化したアメリカ軍兵士を鬼気迫る演技で私達に叩きつけてくる。
こんな鬼のようなショーン・ペンに ひよっ子のマイケル・J・フォックスが かなうわけがない(失礼)。
撮影当時の二人の仲の悪さは報道され 本編よりもそっちに注目されてしまったのは ある意味とても残念。
私はなかなか凄い作品だと思うのだが 本作は批評的にも興行的にも惨敗してしまった。
本作の数年前に「プラトーン」や「フルメタル ジャケット」などがヒットし『ベトナム戦争物ブーム』が巻き起こっていたのだが 本作はブームに乗り遅れてしまったようだ。
とは言え この作品が持つ 真実の意味、命の尊さ、その衝撃度は何年もかけて語り継がれていかれるものだと思う。いや。 と信じたい。


劇場公開時 1990年 2月
渋谷松竹セントラル
💺333席
客入り ?

2011年に閉館。
健一

健一