ポンコツ娘萌え萌え同盟

バグダッドの盗賊のポンコツ娘萌え萌え同盟のレビュー・感想・評価

バグダッドの盗賊(1924年製作の映画)
3.6
「復活」「彼奴は顔役だ!」「ハイ・シェラ」「白熱」などでギャング映画・犯罪映画の印象が強いラオール・ウォルシュが本作で映したのは、オリエント×ファンタジーの舞台の中で王女に恋に落ちた盗賊の男が生まれ変わる様を描いた物語。
正直ウォルシュが純愛ラブロマンスとマジックファンタジーの作品を映していたのが意外だった。

実質的に二幕構成っぽい作りの印象。
一幕はオリエント色の強い美術とバグダッドのセットの中で盗賊や王女の人物像とラブロマンスを映した内容。
二幕目は一幕目とは打って変わり特撮など用いて元盗賊の冒険譚と魔法などのファンタジーを大きくピックアップした物語になる。
モンスターと対峙したり試練の障害を乗り越えたりする元盗賊の男の姿と、努力せず難なく宝を手に入れる他王の姿が対比的。

そんな盗賊に扮して主演を果たすのダグラス・フェアバンクス(だいぶセクシー)。本作より4年前に「奇傑ゾロ」でゾロに扮し映画ではおそらく初のゾロ俳優の男である。
正義漢が盗賊を...?と思うがかなりハマり役だった。本作のフェアバンクスは全体的に動作など身体を使用した演技が盗賊の男のキャラクター像・感情が良く表現されている。

彼の対となるもう一人の主演は王女を演じるジュラン・ジョンストンは目で表現する俳優だ。動きも悪く無いが圧倒的に目だ。
特にそれを感じたのが盗賊の正体を告げられる場面。該当の場面で幾度か王女の顔を表情をクローズアップしたショットがある。そこでの彼女の表情、眉から目の微細な動作も含めて王女の心理を表現しているのが巧み。

しかしそんな本作だが欠点もある。それがモンスターとの対峙だ。100年前の作品、と考えると仕方ない部分もあるが今見るとショボい。
竜と戦う場面があるのだが、実は本作の鑑賞前からラングの「ニーベルンゲン」の特典で収録されていて一度見たことある場面だった(クリティカル・エディション版)。
今回改めて鑑賞しても気持ちは変わらず竜対峙の場面は同年代の「ニーベルンゲン/ジークフリート」の方が圧倒的に映像構成が面白いのと竜のインパクトが強い。
とはいえ「バグダッドの盗賊」は竜の腹部部に回り込んで、竜の腹を切るカットの迫力は何度見てもいい。




余談
まさか本作が鑑賞数日後に映像の世紀バタフライエフェクトででるとは思わなかったよ…