真夜中

ザ・グレイ 凍える太陽の真夜中のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

乗っていた飛行機が墜落し生存者が野生の動物と闘いながらサバイバル。 というと「ザ・ワイルド」を思い出しますがアクション重視だったあちらに比べて、ひたすら淡々とサバイバルの厳しさを描いたドラマが主軸。 妻を亡くし生きる希望を失っていた主人公が極限状態を経験することで生への渇望を見出してゆくストーリーはむしろ「127時間」の方に近いかもしれません。 エンタメ性を排したシリアスな作りは緊迫感はあるものの、起伏のない展開は退屈に感じられるところもあり。 個人的には決して嫌いなタイプの作品ではありませんが、真摯過ぎて少々肩が凝ってしまいました。 人間の本質に迫るドラマとハードなアクション、この両方を上手く演じられるリーアム・ニーソンがいたからこそ実現できた企画なのかも。 とはいえ、そうした真摯な姿勢ゆえ、感銘を受けたシーンも多いです。 特にディアスがサバイバルを諦めるシーンは印象的です。 生き残って単調で窮屈な生活を強いられるより、大自然の一部となって自由な気持ちで死にたい。 自分勝手な行動で仲間の和を乱し、人間としての欲望を剥きだして来た彼だからこその言葉ではありますが、、ある意味悟りを開いたような彼の意思にはどこか共感できるものがありました。 死を選んだ彼の目に映るのは雄大な山脈と足元に流れる河。まさに絶景。 対してオットウェイら生き残りをかけて向かおうとしているのは、雪に覆われ先も見えないような森なのです。 ラストシーンのオットウェイもディアスと同じようにどこか悟りを開いたようにも見えますが、意思は全く逆。 「生き抜いて生き抜いて、死んでやる」と。父親の遺した詩がまさに彼の心情と重なった瞬間です。 そして絶妙のタイミングで映画は終わります。
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