メープりゃー

ザ・グレイ 凍える太陽のメープりゃーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

何となくだけど、結末は 観てて容易に察しが着きました。

他のレビューを見ると、少なからず結末やその演出に満足のいかない方が多いようですが、これを「〇〇エンド」的な言い方で表現するなら「絶望克服エンド」です。

結局、ハッピーエンドなんてものは 現実逃避にすぎないのだと思い知らされました。
自然(現実)はいつだって思い通りにはいかない。
物語に登場する勇者や戦士のようなカッコイイ死に方なんて出来ない。死ぬ時はみんな無様を晒し、絶望し、境遇や運命呪うもの。

仲間を次々失い、ついに独りになった主人公は、信じてもいない神に八つ当たりしながらも歩み続けた。
そして、不本意にも狼の巣に踏み込んでしまった主人公は、群れの親玉を前に死を覚悟するが、父親の書いた詩の内容を思い出し 自らの心に、最後に報いてやろう、という闘志を見出す。
ナイフと割れた瓶をテープで手に固定し、まさに死闘が始まるというその瞬間、幕は降りる。

「生存して欲しかった」「結末をハッキリ描いて欲しかった」などの声が多いですが、少しは想像力を膨らませ、想いを巡らし楽しむということを覚えましょう。

きっと主人公は深手を負うことでしょう。
親玉に勝り、生き残ったとしても、再び歩み出す体力は恐らくありません。
しかし、考えてみてください、主人公を奮い立たせたのは父親の詩です。「戦いの果てに勝ったなら、もう死んでも構わない」という内容の詩に、抗う意志を与えられたのです。
つまり、究極的に言えば、戦いを挑んだ時点で主人公の物語は完結しているんです。
主人公は死を、絶望を受け入れ、克服したんです。
最期の主人公は、きっと負けても後悔はしないでしょう

ただ、☆5を付けるつもりでしたが、いくつか気になるシーンがあり、4.6とさせてもらいました。

崖から木にロープを渡すシーン
正直、いったいどんな物理法則が働けば あれほど離れた木に飛び移れるのか、謎すぎて首を傾げました。

弱々しくも力強く雪を踏みしめる 足を映したシーン
ほんの数秒のカットでしたが、常に雪に接し冷えきっているはずの靴、その靴に落ちる雪が溶けていました。

以上の2点が特に気になってしまいました。

「現実」についてじっくり考えさせられる、
とても良い作品だと思います

メープりゃーさんの鑑賞した映画