ダイナ

バニラ・スカイのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

簡単なあらすじ
会社のトップの座をキープするイケメンで女にも困らない誰もが羨む生活を送るデビット。しかし女関係のもつれから交通事故に巻き込まれる。その代償は大きい顔の傷として残り、この一連の出来事をきっかけとしてデビットの生活に変化が訪れていく。

途中まではラブロマンスだと思っていた。何不自由なく人生を謳歌するデビットを演じるのはトム・クルーズ。観たことあるトム・クルーズの映画は、大体トムが血流すような映画ばっかりだったからこういう映画は新鮮な印象。あとヒロインが二人とも可愛い。特にソフィア、序盤デビットが部屋から出て行ったあとに悶える仕草はとんでもなく可愛かったっす。

交通事故やデビットがマスクを着けて質問攻めされているシーンが訪れ、この映画が単なる恋愛映画じゃねーなと察知。その後不可解な出来事がいくつか発生する。映画の中盤辺りまではちょっと話が理解できなかった。っていうのも自分目線、周囲がデビットをハメようとしてるのか、それとも事故でデビット自身が頭おかしくなって狂言というか妄想を回想として出してきているのかが判断つかなかったからだ。数年前にマルホランドドライヴ観た時ばりに頭に「?」が浮かぶ。(あっちは未だに理解できてない・・・)

その後の、「延命プログラム」からの物語根幹のネタバレを技術サポートから告げられるシーン。ここで話の全体像が掴めた。道で寝てたら翌朝ソフィアが助けに来たの都合良すぎやなぁとか、顔も結局綺麗に戻るのかとか、なんか気になってた部分も回収。店の客が一斉に黙るところなんかはデビット主体の世界、夢を予想できますね。

デビットが高所恐怖症について、「高いのが怖いんじゃない。落ちるのが怖いんだ。」って台詞を言っていた。このセリフは物理的な面で言ったのかもしれないけど精神的な面での意味も含んでいたんじゃないかなと思った。デビットは金も女も仕事もそろってる誰もが最高と思うような男。故にその立場から転落することを心の奥底で不安に思っていたのではとも思える。彼の顔が変わり、周囲の反応も変わって延命プログラムを受けるまでの間の落ちぶれようはなんとなくそんな一面を思わせる。

エレベーター内で窓から見える風景が地から離れていく所からの屋上での決断シーン。真相を知ったデビットとサポートは屋上へ上がっていく(上昇)。そこで現実に目覚めるか、夢の中で甘い生活を送るかの二択について決断。結果飛び降りる(転落)。転落すなわち現実で目覚める選択を選んだデビット。現実はデビットの会社が守られ、またブライアンやソフィア、周囲の友人知人から盛大に偲ばれた、彼の本当に愛された世界。
彼の高所恐怖症は、周囲の愛によって克服されたって解釈した。まあ、現実では100年?以上経ってるのにどうやって生活していくんだとか思いましたが(LEの保険とかあるのか?)あんま気にしないことにした。

タイトルのバニラスカイについて、序盤でモネの絵画がバニラスカイだとか言ってた。個人的にバニラ色って甘ったるい白色って感じ(語彙力!)。ラスト屋上の空がバニラ色ですよね、違うか?個人的印象になるが、なんか朝焼けというか早朝の太陽が出てくるか来ないかのところ、夕暮れの太陽沈むか沈まないかのところのあのなんともいえない空色って感じがします。そういう現実と夢の境目のことをバニラスカイと表していたんじゃないんでしょうか。

気になったところとして、映画の一番最初のシーン、デビットが運転してたら街に誰もいなくて叫んで目が覚めるシーン。あの時点でLEによる「神」とはなっていなかったんですが、あのシーンはなんなんでしょうね。ただの夢?

ラブロマンスかと思ったらスリラーかと思ったらSFだったとう印象。こういう印象を裏切ってくる映画は好き。鑑賞後はトゥルーマンショーを見終わったときと似たような感覚。人生酸いも甘いもある。不幸を知ることは身の回りに隠れた幸せに気付くことができる。人間的成長とは違うかもしれんがデビットの人生観が変わった理由こそがこの映画が伝えたかったことなのかと思った。
ダイナ

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