東京･日本橋｡胸を刺された男性が8分間も歩き続けた後､翼の生えた麒麟像の下で死亡するという事件が起こる｡
一方､事件の容疑者・八島が現場からの逃亡中に車にひかれ､意識不明となった｡被害者の品を八島が持っていたため、警察は八島を犯人と断定。被害者の会社で労災隠しが発覚し、被害者家族は世間からバッシングされる。独自のアプローチで難事件を解決してきた日本橋署の名刑事･加賀恭一郎が､複雑に絡みあった謎を解き明かしていく｡
ベストセラー作家･東野圭吾の人気シリーズが原作の大ヒットドラマ『新参者』の劇場版｡飄々とした存在感がハマり役となった主演･阿部寛ほか､おなじみのレギュラー陣に､中井貴一､新垣結衣という映画ならではの豪華ゲストが参加｡『いま､会いにゆきます』の土井裕泰がメガホンを握り､深みある人間ドラマを繰り広げる｡
阿部寛演じる加賀恭一郎は、事件の関係者の嘘を優れた人間観察力と心理を読み解く力で丁寧に紐解いていくのですが、まったく先が読めずミスリードさせられるので、上質なミステリー映画であるのと同時に、被害者と被害者家族と加害者が抱える予想もつかない事情や真相が明らかになっていく中で浮き彫りにされる、家族内の行き違いが生むドラマ、東京に夢を持って出て来たカップルの苦悩と新たな出発のドラマ、加賀恭一郎と父親との確執、被害者である父親から子供への愛、容疑者から婚約者への愛、加賀恭一郎への父親の愛が解明される時、悲しくも温かい真実を通じて、人間の悲しさや素晴らしさを教えてくれる優れた人間ドラマもあって、深い感動を観た人に与えてくれます。
加賀恭一郎を演じる阿部寛、中井貴一、新垣結衣、松坂桃李のリアルで丁寧な演技も素晴らしいです。
東野圭吾・作品の映画化では、「容疑者Ｘの献身」、手紙、に並ぶ名作です。
