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最高殊勲夫人のnuのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
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再鑑賞。若尾文子のかわいらしさにまた虜になる。川口浩との相性も良い。増村保造の他の作品をもう少し観た上で再度これを観ると、ここでもブロッキングを巧みに使うなどした整ったショットが多いことに気づかされる。物語そのものに関しては、何人かの登場人物の台詞を見ていると階級差や性役割の面でやや時代を感じられるところがある。しかし、同時に当時の社会を批判しているようにも思える。例えば、桃子は一般家庭出身だが、稼ぎの良い男性と結婚することで自身も上の階級の者となり、そのステータスを手放すまいと必死である。一方、富士子は生まれながらにしてお金持ちであるが、自分磨きに勤しむことのできる自由な女性である。つまり、多くの女性は自分だけの力で階級を上る機会は与えられず「良い」生活をするには財力のある男性と結婚するしかないのである。富士子のように自分を探求することは贅沢なのである。
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