ダイナ

スキャナーズのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

スキャナーズ(1981年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

デヴィット・クローネンバーグ監督作。異能力を持った「スキャナー」、相手の脳内に干渉しテレパシーを試みたり攻撃するというロマン溢れる設定。異能を持った人間とか人外が人間を支配しようとするプロットの偉大さを十分に堪能しました。現在でも有象無象の漫画で擦られまくってる設定ですが、本作が大元なのかスキャナーズも何かの継承作なのでしょうか。また本作各所で見られる造形物のシュールさが結構好みでした。グロ演出は控えめな印象。ただ頭部破壊の強烈さは流石ですし受話器からドロドロと溶け出す液体(プラスチック?)は非肉体のグロさ表現の挑戦のようで印象強く残ってます。レボックのおでこを切り開くというのはトレパネーションでしょうか。マイケルアイアンサイドがカナダのジャック・ニコルソンと呼ばれてるのには納得。

好きなシーンは巨頭石膏内での会話→ショットガン包囲網からのベイルの能力解放。崩壊した巨頭から出てくるベイルが内面的にも絵面としても殻を破ったかのように見せているようで良い演出。にらめっこの達人同士がガチバトルしてるようなクライマックスは正直笑いを誘われますが、極太血管と眼球破裂というボディホラーが見れたのヨシ!

ベイルは社会を憎んでもしょうがない生い立ちですがレボックに反発したのは心通わせたスキャナー達が殺されたからか、レボックの殺人歴を知っていたからか。レボックとベイルの和解する世界線は結構可能性高かったんじゃないかと思ったりもします。ベイルの良心が欠けていたら、レボックの理念に邪魔な存在の殺害が無かったらどうなっていたんでしょう。ラストは拍子抜けしましたが「レボックがベイルを演じているだけ」という監督お得意の含みのある終わらせ方ととれたりもする…?

火が出る能力はスキャンから離れた超常現象のような気もしなくもないですがどういう原理だったのか。火が出せるわけではなくあくまでスキャン能力に付随する副作用的な何かか?。終盤につれて大人しくなるような印象ではありますが面白かったです。エンドロールのお洒落さがイイ。
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