似太郎

弥太郎笠の似太郎のレビュー・感想・評価

弥太郎笠(1960年製作の映画)
4.8
主演・中村錦之助の豪快な殺陣が堪能できる娯楽時代劇。原作は子母沢寛。

舞台が江戸時代なのに現代語を話すキャラクター達や滑らかで活き活きとしたカメラワーク等、日本最強の活動屋・マキノ雅弘の面目躍如といった感じである。全編に渡りテンポが良くキレ味抜群。

弟子である澤井信一郎監督が「マキノ映画の真髄は脚本にある」とインタビューで語っていたが、本来コメディリリーフである千秋実の後半の表返りなど伏線回収が実に巧い。丘さとみが絡むラストシーンも不自然さが全く無い。「ここでこう来るか!」と全体的に計算が行き渡ってる印象。

渡世人、弥太郎の内的成長とヒロインお雪との淡い恋模様が多数の「提灯」に象徴されるように、これも一種の青春映画なのだなぁ〜と興味深く拝見した。東映らしいハッタリ感も含め、古き良き邦画のエッセンスが盛り沢山。

オーソドックスな映画話法の裏にこんな「小技」が効いているとは…。やはりこの頃の時代劇は奥が深い。座布団一枚!🍵
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