TAK44マグナム

WANTED/ウォンテッドのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

WANTED/ウォンテッド(1986年製作の映画)
3.2
ルドガー・ハウアーVSジーン・シモンズ!


いよいよ、あのカルトSF映画「ブレードランナー」の続編が我が国でも公開になりましたね。
きっと多くのファンが劇場へ殺到していることでしょう。
しかし、ムビチケは持っていても全然観に行けない哀しい公開日・・・そんな時にはブレランと言えばこの人!
そう、ルトガー・ハウアーです!
そんなわけで、ルトガー・ハウアー主演「ウォンテッド」であります!

監督は「ゾンゲリア」のゲイリー・シャーマン。因みに、「ワイルドスピードX2」で悪役だったコール・ハウザーのお父さんであるウイングス・ハウザーが最狂ポン引きを演じた「ザ・モンスター」でも豪腕をふるっております。まったく関係ないですが!

敵となる中東テロリストを演じるのはロックバンドKISSのジーン・シモンズ。トム・セレック主演の「未来警察」でもミサイルガンを持つ悪役をやってましたねえ。


元CIAで、現在は一匹狼の賞金稼ぎであるニック・ランドル(ルトガー・ハウアー)。
付き合って3ヶ月になる美人の彼女と乳繰り合っていると、昔の仲間が訪ねてきます。
「ランボー2」を上映中だった映画館を爆破したテロリストを捕まえれば25万ドルという大仕事を依頼しにきたのです。
それだけの大金をだせるなら、ゴルゴ13に頼んだほうが早いし確実なんですが、この映画ではニックこそがベストオブベストみたいです。
賞金で船を整備して旅に出て余生を暮らそうと、ニックは仕事を引き受けます。
しかし、このテロリストとニックの間には浅からぬ因縁があり、ニック自身もターゲットにされてしまうのでした。
やがて、大切な者を奪われたニックの怒りの報復劇が始まります。


80年代だし、製作がロジャー・コーマンの会社だったりするのでユルい部分も散見されますが、ゲイリー・シャーマンのシメるところはシメる堅実な演出が駄作にはしていません。
親しい者以外は信じず、どこか達観したところのある主人公像をルトガー・ハウアーが格好良く演じていますよ。
ニックのライフスタイルがこれまた男にはハマります。
普段はハーバーの船を根城として、事務所は車やバイク、銃器が揃った居抜きの廃工場みたいな場所でして、男の浪漫が充満していてたまりません。まさしく秘密基地!
また、ニックはスティーブ・マックイーン主演だったドラマ「拳銃無宿」の主人公の子孫という設定もあり、とにかく仕事が出来る男なんですよ。
たったひとつ事件現場に残された証拠から、あれよあれよと言う間に敵の懐に近づいてゆく捜査は、これこそプロのお仕事に他なりません。
FBIがヘマしなければ何の問題もなくテロリストを倒していたような気がしますが、それでは映画にならないのでピンチに陥ったりします。
しかし、基本的には敵におくれをとるようなキャラクターではないのでイライラさせられる事なく観られると思います。

対して、ジーン・シモンズのテロリストなんですが、こいつはあまりカリスマ性がなかったですね。
よくある狂人キャラとしても中途半端だし、魅力的な悪役とは言えず。
パートナーの女テロリストは中々の美人さんなので、そっちばかり見ちゃいましたよ。
ニックとの確執がセリフだけでしか語られないし、クライマックスまで2人の接触があるわけでないので最後の対決もそんなに盛り上がらない。2人とも、それぞれに復讐する理由があるのに意外と淡白な決着がついちゃう。
・・・・・と、思っていたらラスト、ニックの抑えていた感情が爆発して拍手喝采ですよ!
ここでの、何だか情けないジーン・シモンズの姿をみて(しかも◯◯◯が大変な事になる!)、KISSの熱心なファンは心中複雑だったのではなかろうか・・・・・
なんて、要らぬ心配ですな(苦笑)

それにしてもルトガー・ハウアーは強面ながら格好いい。
存在感ある俳優さんだと思います。
本作は、そんな彼の、あらゆる格好良さが詰まった映画だと言えるでしょう。
アクション映画としては普通すぎるので敢えてオススメ致しませんが、最新作公開に合わせてブレランを鑑賞、ルトガー・ハウアーが気になった・・・なんて方がいたら是非、過去作もいかがでしょうか。
「ヒッチャー」は定番ですし、「サルート・オブ・ザ・ジャガー」
や年とってからの「ホーボー・ウィズ・ショットガン」などは男の強さが炸裂する、まるで「北斗の拳」に出てくるラオウ軍の心ある下っ端や種もみを守って殺される爺さんのようなルトガー・ハウアーが堪能できる、「埃」と「誇り」にまみれた良作ではないかと。

そして、孤独な男の定番アイテムであるハーモニカを吹くルトガー・ハウアーを拝みたくなったら本作のDVDを、そっとプレーヤーにセットしてみてくださいね!


セルDVDにて