Keigo

暗黒街の顔役のKeigoのレビュー・感想・評価

暗黒街の顔役(1932年製作の映画)
3.6
『スカーフェイス』より先にこっちを観といた方が、いろんな意味でどっちもさらに楽しめたかもな〜…でも『スカーフェイス』がこの『暗黒街の顔役』にすごく敬意を持って作られた作品だったということはよく分かる。

冒頭のエクスキューズが、もはや嘆願書とでも言えるような真正面からのはっきりした物言いで驚いた。映画という文化が当時、ただの娯楽としてではなく社会的にも政治的にもどれだけの影響力を持っていたかということを感じさせられる。

『仮面の米国』とはまた違った顔を見せていたトニー役のポール・ムニも、独特な魅力を持ったポピー役のカレン・モーリーも、まだ若いトニーの妹役を熱演していたアン・ドォヴォラックも、トニーの相棒役のジョージ・ラフトもみんな良かったけど、唯一の三枚目であるトニーの秘書(とは名ばかりで電話番すらろくに出来ない)のアンジェロを演じていたヴィンス・バーネットがイチオシ。レストランかなんかで電話対応中に、敵勢力からマシンガンで奇襲受けてる時のあたふた具合とか最高だったなー。そしてあの終盤の展開…泣けるぜ。

機関銃の連射に日めくりカレンダーがバーーッとめくれていく映像を重ねて時間の経過とその間に行われた殺戮を表現したり、7人の男が一斉に射殺されるのをシルエットのみで見せたあとの鉄格子?の7つのクロスだったり、あくまでも映像で語るハワード・ホークスの演出もさすがは歴史に名を残す偉大な監督だなと。

ギャング映画のクラシックここにあり。
もっかい『スカーフェイス』が観たくなった。
Keigo

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