荻昌弘の映画評論

ワイオミングの緑草の荻昌弘の映画評論のネタバレレビュー・内容・結末

ワイオミングの緑草(1948年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 また馬ナリキ。小生書きながらも「嵐の園」と混同を起しそうだが、ハッキリしてるのはこちらは馬が主役だということ。少くとも人間共より馬の方がお上手に芝居をなさった。実際この馬のウマいこと、邦画あたりでも大いに参考資料としていただきたい位。
 イエ、「人喰い熊」の監督だけに言ってるんじゃない。俳優さん方、就中、悪漢で情婦を引ずって逃げるなどというテを専門になさる方はこの馬のヒイロオが恋人(?)をヨウして追手をマクあたりの動作の要領をトクと会得されよ。二人(とどうしても言いたいね)で崖下にかくれ、追手をやり過すショットなどのチエふかき表情は演技指導に来て貰ってもいいくらいかナ。監督もこのシリイズ専門だけに、ここらあたりのつなぎの滑らかさは堂に入ったもの。
 色彩は高原地帯の爽々とした涼気を抱えて、やっぱりコロラドの北だけに同じ岩山でも何だか淋しいやぐらいの感銘はちゃんと残す。若いお二人ペギイ・カミンス=ロバアト・アアサアは、マカリスタア=ヘイヴァ・チイムに比べるとおとなしく野暮ったいだけ印象が薄い。東部と西部。
『映画評論 7(6)』