あっくん

扉をたたく人のあっくんのレビュー・感想・評価

扉をたたく人(2007年製作の映画)
4.8
中古DVD良作発掘作品‼️
響き渡るジャンベの音色が名作へと導かれる‼️

🪘あらすじ
コネチカット州で大学教授をしている62歳のウォルターは妻を亡くして以来から心を閉ざしていたが、ピアニストの妻の影響か才能のない音楽を欠かさず習っていた。
ある時、学会のためにニューヨークに出張し、滞在のために別宅のアパートを訪れるが、そこには見知らぬ外国人がいた。
ジャンベ奏者のシリア系男性タレクと、恋人で手作りアクセサリーを売るセネガル系女性のゼイナブは詐欺でウォルターの家を貸されたのでやむを得ず共同生活を始めた。
彼らだったが、陽気なタレクはウォルターにジャンベの演奏法を教え、徐々に絆が結ばれた存在になっていくが、タレクは地下鉄無賃乗車を疑われて逮捕され、不法滞在の身を暴かれてしまう…。

🪘感想
偶然起きた素敵な出会い✨✨(*´ω`*)
…だけどそれは、あまりにも切なすぎる運命…。
( ゚д゚)ポカーン
言葉に出来ない位の無力感に襲われました…💦

9.11同時多発テロ事件からあまり経っていない時代背景の影響か、風当たりがかなり厳しい移民問題…。
まるで犯罪者扱いの存在に…。
テロは未来へも変えてしまう…。
もうアメリカが自由の国だったのは昔の話…。

心を閉ざした大学教授に一筋の光を与えたのは周りを明るくし、音楽を愛する真面目な好青年としっかり者のガールフレンド✨
その絆と友情、そして何より音楽の楽しさが凄く素敵だった✨✨✨(*´艸`*)

だからこそより一層…後半から観ていて辛くなる…。
あるシーンでいつも穏やかで静かなウォルターが不法移民の対応に対して激昂する姿にはグッとくるものを感じました💦(・・;)
これが今の現実と考えると残酷…。
日常なのにこんな非情な事が出来るとは…。

どのキャラクターも素晴らしかったが、周りを明るくするタレクはもちろん、一番印象的なのがタレクの母親モーナ。
息子を心配する親心の強さ、笑顔の美しさ、儚い弱さを兼ね備えた存在感が印象的でした🎶

※原題名は“the visitor”(訪問者)
その事から邦題“(心の)扉をたたく人”と考えたと思われるが、まだ色々な意味が解釈されそう💦
珍しく邦題が良かったと感じます🎶(๑•̀ㅂ•́)و

🪘ラストシーン
今回のアイコンでもあるキーアイテムのジャンベ。
そんなラストシーンが注目‼️

ラストシーンだけ観ると只々力強いリズム良くジャンベを叩くウォルターですが、全てを観るとまるでウォルターの感情をうけとったかの様に伝わります…。

「何故だ‼️何故こんなことに‼️」

……まるで心から悲痛な想いで叫んでいる様な力強い音なのに、どこか儚く切なく聞こえてしまったジャンベの音色…。。。

それは…
残酷な運命による怒りからなのか…❓
運命に逆らえなかった悲しみからなのか…❓
運命通りになってしまった自分の無力さ、虚しさからなのか…❓

音色を聞いていると、自然と涙が溢れてしまいました…。
私には素敵な絆を思わせる様な未来を見事に崩されてしまった喪失感が観終わった後に痛感‼️(´・ω・`)

この出会いでウォルター自身は人生もかなり変わったが、一生忘れられない出来事を抱え、これから彼はどう生きるのか…❓
…ただ、あのジャンベがある事は少し救いで微かな希望なのかもしれない…
そう思わざるを得ない…。(・ัω・ั)

静かながらの素晴らしい名作だと実感しました…。

🪘キャスト
監督は俳優でもあるトーマス・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ、スティルウォーター、2012(俳優)、父親たちの星条旗(俳優))。
※本作は全米でたった4館しか上映しなかったが、ロングランヒットにより270館まで増やしたという。
キャスト陣は…
・本作でアカデミー賞主演男優賞ノミネートした主人公ウォルター役のリチャード・ジェンキンス(シェイプ・オブ・ウォーター、ホワイトハウス・ダウン、ナイトメア・アリー)
・タレク役のハーズ・スレイマン(ジャック・ライアンシリーズ)
・ゼイナム役のダナイ・グリラ(ブラック・パンサーやアベンジャーズシリーズのオコエ)
・タレクの母親モーナ役のヒアム・アッバス(最近レビューした画家と庭師のカンパーニュ、マリア、ミュンヘン)
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