マーくんパパ

扉をたたく人のマーくんパパのレビュー・感想・評価

扉をたたく人(2007年製作の映画)
3.9
9.11テロ以降、不法移民滞在者の取締り強化を背景に構成されたドラマ。妻に先立たれた大学老教授ウォルターが出張先ニューヨークの自身のアパートで不法居住しているタレク(シリア出身)&ゼイナブ(セネガル出身)の若い男女と知り合う。追い出すのも気の毒に思いしばらく同居生活おくることに。付き合ってみれば2人は気のいい若者でタレクからは民族打楽器ジャンベを習い無味乾燥だった日常に張りが出るウォルター。しかしある日タレクとストリート演奏会に出掛ける途中、地下鉄無賃乗車を疑われてタレクは逮捕され不法滞在者だと判明し収容所に拘束される。恋人もタレクの母も面会したくても同じ不法滞在者だから会いに行けない、遠くから収容所を見守るショット、ウォルターが地下鉄プラットフォームで無心で叩くジャンベにやり場のない怒りと悲しみが凝縮されたショットが素晴らしい。無聊をかこって始めたピアノで才能の無さを指摘されピアノ教師を首にする序盤から、自然に身体が動くリズムに触れ無心でパンツ一枚でジャンベを練習しラストの演奏に繋がる一連がウォルターの心の動きと一体となる展開もgoodでした。