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扉をたたく人のchangtakeのレビュー・感想・評価

扉をたたく人(2007年製作の映画)
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すべてが流れ作業かのような生活を送るカタブツ大学教授・ウォルターが、ジャンべ奏者の青年・タレクとの出会いをきっかけに、豊かな人生を歩み始めるが・・・というお話。

タレクの、ぐいぐいと周りを巻き込む人柄が手伝い、ウォルターもすっかりジャンべの虜に。
いつもの大学生活も途端に輝き始めた。
しかし、タレクが不法滞在を理由に拘束されてしまう。ウォルターはタレクを救い出すために奔走するが…。
タレクに会うため、ウォルターのもとへやってきた、美しい母との出会いもあり、その人生は、悲しくも愛おしいものになっていく。

エンディングはある意味拍子抜けだ。ある意味。
劇的なハッピーエンドでもなく、号泣を誘う悲劇でもない。
いや、まあ悲しいんだけど、アメリカならこうなっちゃうんだろうな、みたいな。

しかし、この淡々と悲しい現実を見せつけてくる結末が、俺らの身を引き締めてくれる。
この世には不条理もあるけど、やるしかねぇんだと。
目の前にある現実に真正面から向き合うしかねぇんだと。
そんな気にさせてくれる映画でした。

特に、ウォルターが心情を激白する2つのシーンが感動的です。
1つは拘置所。まさに流れ作業で、簡単に不法移民を強制送還させる人々へ。人の人生をこんなに軽々しく扱っていいのかと。
もう1つはタレクの母へ。
あのカタブツウォルターが、感情を露わにする名シーン、考えさせられました。
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