不法移民問題を扱いながら、孤独な初老男性が希望を見い出していくヒューマンドラマ。地味だけど心温まる作品でした。
妻を亡くした62歳の大学教授ウォルターは堅物(かたぶつ)なまま長いこと生きてきた。淡々と日々をやり過ごし、笑うことのなかった彼が、移民たちとの出会いを通して自分らしさと生きる悦びを見出していく…
亡き妻が残したピアノの演奏を諦めた矢先、ウォルターはシリア移民の青年と出会い、ジャンベというアフリカの打楽器を教わり、のめりこんでいく。音楽が人を繋ぎ、癒やしていくのが心地いい。誰でも参加していいんだよってスタンスの音楽性も素敵。やがて青年の母親との交流で忘れていた恋心も思い出す。
警察に逮捕され強制送還となった青年には過酷な人生が待っているだろう。移民問題の根深さを感じた作品だった。
主演のリチャード・ジェンキンスさん、近くにいたら絶対つまらない人って感じだったのに、最後には怒ったり笑ったりハグしたり、人間らしくなっていく。地下鉄でジャンベを叩く姿に熱くなった。
いくつになっても人は変われる、何かを始めることができる。そんなメッセージを受け取りました。