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ロンゲスト・ヤードのtntnのレビュー・感想・評価

ロンゲスト・ヤード(1974年製作の映画)
4.1
【負け犬たちの正しくないワンスアゲイン!】
最高に燃えるスポーツ映画!
冒頭のカーチェイスの暴力的編集から一気に観客を映画に引きずり込む。
ケイパーモノのようなワクワクの詰まったチームメンバー収集と、
彼らの抱腹絶倒間違いなしなど畜生ロジック満載な特訓。
そしてロングショットとクローズアップのクロスカッティングが執拗に繰り返されるクライマックスでそのテンションは最高潮!
こんなに面白い映画はまずないからみんな見ろよ!

僕がこの映画で一番好きな点は、フットボールチーム「ミートマシン」が決して「正しく」ないこと。
相手チームの骨折部位を集中攻撃したりとはっきり言って反則すれすれのプレーばかりを繰り返す。
でも彼らはもともと罪を犯した囚人であり、自分にプライドも自信も失っている人間たちなのだ。
そして彼らのことを圧迫していた元凶とは、横暴で差別的でいけ好かない看守ども達。
汚れきった自分たちなりのやり方で、現状を打破しようともがくメンバー達がだんだん愛おしく見えてしょうがないのもまた監督の演出の功績だろうか。

そんなミートマシン達の想いが凝縮されたラストのスローモーションは圧巻の一言。
刑務所内や治療室で試合中継を聞くもの達の、
そしてスタジアムで束になって看守達を押さえつけようとするメンバー達の熱意を受けた主人公ポールが走り出し、彼らの想いを叶えるため、勝利を掴むために彼らを「超えて」行く姿にはガッツをもらった。
そしてそのガッツがそのままクソッタレな看守にも波及して行く最後の展開も心底粋だと思う。
粋といえば、この映画のとにかくウエットに傾かないバランスもまた素晴らしい。
ミートマシンを裏切ってしまう彼のことも、甘ったるい許しはもたらさないけどべつに断罪しているわけではない。
結局のところ魂を賭ける戦いには、単縦な善悪の二元論なんてものは存在しねえんだよ!とアルドルッチに言われたみたいだ。
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