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天使にラブ・ソングを…のjonajonaのレビュー・感想・評価

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)
4.0
歌う喜びとやりたい事をやる喜びに満ち溢れてて幸せな映画だった。

100分しかないタイトな尺の映画なのに驚くべきことに50分を超えるまで主人公が聖歌隊に合流する展開にならない。
しかも案外唐突に聖歌隊やるか!てなる。ラブソングを…とタイトルにあるのでこれかなり衝撃。しかし観終わってみると確かに聖歌隊のチームの話だったな〜と思わせられるので不思議。前半にキャラの下積みに時間をかけてるのと、ギャングの話もあるもんな、剛腕だわ。

修道院長が聖歌をブギウギで歌わせた主人公に対して怒り心頭になってるところを止めに入る司祭のなだめ技術の高さが見事で勉強になる笑。
部下の功績を誉めるんじゃなくてまとめ役の院長様を誉めそやすことで、まさか部下(シスター)が勝手にやったこととは口が裂けても言えない空気を作る流れがうまい。そこからさらに調子に乗って教会外にまで出張って活動しようとしちゃう主人公の後先考えないパワフルさもバカだなぁと思いつつ面白い。人気出てテレビにまで映されちゃ危ないだろ〜がよぉお〜!

こいつ敵か…!?と思うヤツが出てきたりもするんだけど案外みんな酷いことをしたりせず敵対してても話し合いで言い負かされると大人しく身を引く展開になるのが新鮮で、真に悪役は外野のギャング共しかいないのが多幸感高めのテイストを生み出すことに成功してるのかもしれない。

ギャングがボンクラ可愛くて刑事が今では珍しいくらい有能で面白かった。伝票を盗み見てた同僚を一瞬で裏切り者と見抜いてぶん殴って誘拐を阻止すべく迅速に動く姿に惚れぼれ。ギャングがボス共々スロット機に3人で一片に追いかけてズン!てお互いの肩が挟まっちゃうの好き。

地獄行きだよ!を真剣に捉えてギョッとしたり、歌うってセックスより気持ちいい!にえっ…てなったりするシスタージョークもウケた。世界観に対して主人公が異質な存在なことが笑いと共に実感させられる。


【キャラ】
マリークラレンス…主人公。陽気で歌うのが大好きなミュージシャン。ギャングのボスの愛人でカジノで歌ったりしてたが、別れようとした矢先殺人現場を目撃して追われ逃亡。警察によって匿われて、教会でシスターに変装するハメに。
幼少期からお転婆で負けん気が強く口が減らないタイプ。でも同時に一見敵対してる人などに対しても穏やかに接することが出来る心の器の広い人でもある。悪態を付いてたマリーラザランスは、『ここまで鍛えられるなんて貴方が相当な指導者だったとわかりますわ〜』とか言っちゃって一瞬で懐柔し仲良くなっちゃう。みんなでなんかするの好きなクラスの人気者タイプ。

◉修道院長…はじめ敵対者に見せかけて実は1番救うべき相手でもあるという名キャラクター。生真面目人間。教会のルールを内面化しており自分にも他人にも厳しい人。その固さに自分でも実は自覚的で主人公が現れた事で自身を『時代遅れ』だと無力感を感じているとわかってくる。クラレンスの身の上と、世間の厳しい現実も知ってるが故に易々と彼女の活動を認めない。
自分の常識を打ち破ってギラギラの街ベガスまで乗り込んでクラレンス救出に駆けつける決断をする事で、彼女自身も救われてる。『こんな目に遭わせてくれてありがとう』と言うセリフでそう感じた。
とてもいいキャラ。

マリーラザランス…聖歌隊の指揮者のお婆さん。真面目な性格で尼さんとして優等生タイプ。型破りな性格のマリークラレンス(主人公)とは性分が合わず、そこに彼女が聖歌隊を指揮することになってしまい自分の立場が失われるかも!と初めは敵対心を持ってるキャラクター。口が悪くてプライドが高く、結構嫌なヤツかな?と思うものの歌を一緒に歌って一瞬でニッコニコになってて笑った。

マリーロバート…声が小さくて内気な若い尼さん。内に秘めた好奇心は人一倍強くワイルドな主人公に興味を持って近づき仲良くなる。実は声が小さいだけでとても綺麗な声をしており主人公の指導によって自信を得て声を張りメインボーカルになることに。
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