メモ魔

天使にラブ・ソングを…のメモ魔のレビュー・感想・評価

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)
3.8
諦め続ける幸せか
新しい芽に水を与え続ける過酷な幸せか。
どちらも幸せ、
それでも人生有限なんだし、平凡で横ばいな幸せより新しい自分をこじ開ける道を選びたい。

凝り固まった古いしきたりに新しい暴風を与えるそんな作品だった。

ディズニー関連の映画はやはり軸が固まっていて良い。今作も、自分のなりたい姿と周りから見る自分のギャップ。これを埋めるために成長していくキャラクター達を見ることができた。

修道女、尼さんに対する世間のイメージから乖離した行動が脳裏に焼きつく。
カジノと修道女が同じ枠に収まる映画が今まであっただろうか。笑
友を救う為カジノへ参じた修道女がどっぷりカジノにハマってしまうシーンが面白すぎた笑

この映画では、修道女、神に仕えるものは我慢と苦行でのみ自身を浄化できる。そう考えられているようだ(実際の修道女方がどういった考えで苦行に身を染めるかは勉強してないので分からない。)
そんな圧力に対して、楽や俗を導入し[楽しく誰かに尽くす]
これを全面に推している作品だった。

人間、苦しい思いをしなければそれ以上に苦しんでる人々へ優しさを与えたり共感したりすることはできない。
それには同意する。イジメや学校に行けない学生を救えるのは同じく学校に行けなかった経験をした人だけだ。
でも。
だからってずっと苦行をしてるだけじゃ人は救えない。優しさは相手がいて初めて発揮できるものだ。主人公は歌を用いることで、苦行を優しさに消化することに成功したんだと思う。

主人公が修道院で規則に縛られながらも歌を続けていくシーンだけだと中盤はグダりそうだが、そこをしっかり[ギャングに追われている]という設定が背後にあることで起承転結にハリができてる。
最後まで楽しく見れるし、転から結までのジェットコースターはギャングと銃、そして修道女がカジノ⁈に行くことで十分すぎるくらい速度を持っていた。

ストーリーに直接関係するようなミュージカルではないので、キャラクターの歌から感情移入することは困難だった。が、今まで自分に自信のなかった修道女が主人公のおかげでソロパートも全力で張っていくようになったのは見ていて爽快だった。人間心の持ちようで輝きが何倍にも増す。

[総評]
3.8点
面白かった。通して完成度が高い。矛盾がない。
主人公がギャングに追われているという状況と、それでも有名になっていく主人公の矛盾がストーリーに張りを与えている。
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