アイリス・マードックはイギリスの哲学者で作家。若い頃は自由奔放な恋愛をした彼女。自分も彼女の作品のペーパーバックを何度も挫折しながら読み続けている。
彼女の若い頃をケイト・ウインスレット、老年をジュディ・デンチが好演。特にアルツハイマーの彼女を支える旦那役のジム・ブロードベントの葛藤が、痛々しい。
でも、自分も将来親の介護を切り抜ける知恵として本作から勇気をもらった気がした。
それは、愛する人の苦しい現状に、直面しながらも、過去の楽しかった思い出を重ね合わせ、重層的に、大事な人を受け入れる「慈しみ」の心だ。
悲惨な物語を包み込む、名匠ジェームズ・ホーナーの管弦楽の調べが、寛容であることの大切さを物語っているようだった。
