佐藤克巳

藤十郎の恋の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

藤十郎の恋(1938年製作の映画)
4.5
山本嘉次郎監督作品というより製作主任黒澤明色が強い長谷川一夫主演芸道物の秀作。坂田藤十郎長谷川が、近松門左衛門滝沢修に依頼し出来上がった新狂言「大経師昔暦」のおさんの解釈に難渋していたが、芝居茶屋女将入江たか子との10年前の恋の語らいで、入江の泣き崩れる仕草をヒントに芝居の稽古が始まり興行は大成功するが、入江は、長谷川が嘘噺を語って泣かせたという噂に堪え兼ね奈落で自害する。後年の黒澤にもあるが、絢爛豪華さを強調した前口上的な前半が長過ぎる欠点は否めない。
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