せいか

ザ・ビーチのせいかのレビュー・感想・評価

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)
5.0
2時間の作品を4倍くらいの時間をかけて、感想メモを取りながら観ていたが、あまりにも長大になったため、ここには簡素に書いておくに留める。

原作小説は未読。

もっとずっとシリアスでひやひやするのかとか思っていたが、かなり欧米(特にアメリカ)社会もろもろに対して皮肉的に無責任者たちのユートピアをひたすらに描くえぐい作品だった。寄生虫たちのお話だよ。

安全圏の中で社会に疲れ、非日常のアバンチュールを期待して遠い大地へ旅立つ。でもそこに巣くうのは四方八方寄生虫たちなのである。それほ楽園においても変わらない。ユートピアの意味は「どこにもない」。人工的に作り上げたところで、それはあらゆるものを犠牲にし、自己中心的な満足によって成り立っているだけ。

あと、ベトナム戦争を経たアメリカらしい、ああ、アメリカだから作れるんだなという作品でもあった。ほんとうに巧みにじわじわと、観ていてなんとなくそういうのが脳裏に過るようになっている。

面白かったけど、やっぱり何きっかけで観ることにしたのかは思い出せない。

あと、主人公への好感度はイマイチだが、フランス人の彼氏くんはひたすら好感度鰻登りであった。無責任な人たちに囲まれながらも真に人間的に生きようとしていたように思う。一連の事件に巻き込まれていたのが可哀想だった。
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