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パンドラの匣のodyssのレビュー・感想・評価

パンドラの匣(2009年製作の映画)
2.2
【イマイチ】

見ていて、終戦直後の話だとはどうも思えませんでした。

まず、染谷将太がいかにも健康的で、喀血をしそうには全然見えないのです。ミスキャストじゃないですか。あの頃の日本人はもっとガリガリに痩せていたはずだし、できれば太宰みたいな面長の俳優を使った方がいいですね。染谷の丸顔じゃ、感じが出ない。

あと、敗戦で従来の価値観が崩壊してしまい、一種ナンデモアリになっていた終戦直後のアナーキーな雰囲気を出すには、もっとコミカルな演出が必要でしょう。原作は読んでいませんが、おそらく太宰独特の文体で滑稽味やもの悲しさを出しているのでしょうけれど、映画ではもう少しデフォルメしないと、書かれてからだいぶたって時代が変わっているわけだし、観客には雰囲気が伝わらない。仲里依紗はがんばっていたけれど、他のキャラクターはちょっと足りていないような。

この映画の一つの見どころは、芥川賞をとった美人作家・川上未映子さんが主演していることでしょう。動いている彼女を見ると、うーん、たしかに美人ではあるが、スゴイ美人、というほどでもないかな、という気がしました(すみません)。それだけに、彼女をどう魅力的に映すかといった工夫も必要なはずですが、その辺どうなのかなあ。イマイチだったような気がするんだけれど。
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