終戦間もない結核療養所「健康道場」での恋の物語。
原作は太宰治。
これはこの世の出来事ではないですね。あの世の手前の待合室、という感じがしました。
「健康道場」の看護士の女性たちは、ギリシャ神話における人類最初の女性「パンドラ」なのでしょうか。塾生(映画の中で患者のことをそう呼んでいました)を魅了し、惑わします。
彼女たちにしてみれば日々の仕事を献身的に行っているだけであり、男たちが勝手に心乱しているようにも見えます。
僕も観ていて、看護士のタケさんに恋をする瞬間がありました。男はみんな、観ながらこの映画の世界に入ってしまうのではないでしょうか。
仕掛けとしても、古い言葉遣い、「やっとるか」から始まる独特の掛け声、そして着物をはじめとする衣装などの美術によって異世界へ誘われます。
いやあ、独特の世界にすっかり呑み込まれました。