Omizu

舞踏会の手帖のOmizuのレビュー・感想・評価

舞踏会の手帖(1937年製作の映画)
3.7
【第5回ヴェネツィア映画祭 金獅子賞】
『にんじん』などの名匠ジュリアン・デュヴィヴィエ監督作品。ヴェネツィア映画祭で最高賞を受賞、キネ旬外国ベストテンでも第1位に輝いた。

なんか切なくなる作品だった。舞踏会と聞いて想像する華やかさとは全然違ってしんみりする。

夫に先立たれ未亡人となった女性が「舞踏会の手帖」をもとに昔の男たちを訪ねていくという話。

デュヴィヴィエならではのヒューマニズムに貫かれた一作であると言えるかも。昔の男たちはほぼみな当初の夢を諦めていたり失敗していたり。人生は思い通りにはいかない。でも人間って生きていかなくてはならない。生が持つ惨たらしさと力強さが併存しているような描写がよかった。

厳しくも暖かい語り口に包まれた作品。デュヴィヴィエ作品はそこまでたくさん観ている訳ではないが、本作が一番良かったかも。素直に感情を揺さぶられる秀作人間ドラマ。主演のマリー・ベルもいい。
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