イチロヲ

ネクロノミカンのイチロヲのレビュー・感想・評価

ネクロノミカン(1993年製作の映画)
4.0
密教寺院の書庫を訪れた小説家ラヴクラフトが、魔導書ネクロノミカンを解読しようとする。架空の魔導書ネクロノミカン(ネクロノミコンとも)を題材に取っている、オムニバス・ホラー。

端的に述べると、"魔導書が生み出す悲劇"をベースにした、古典ホラーのリスペクト作品。既視感満点のシナリオ展開を見せるが、重厚なゴシック・ホラーの雰囲気作りと特殊メイクによるグロテスク表現が秀逸なため、"怖いもの見たさ"が駆り立てられる。

第1話は、亡き恋人を蘇らせようとする行為が、悲劇を呼び起こすパターン。初期ゾンビ映画の系統であり、古典をストレートに踏襲している。第2話は、金子修介&伊藤和典が担当しており、マッド・サイエンティストの数奇な運命が、手堅く描かれる。

第3話は、奇妙な地下遺跡に迷い込んだ女性警官の奮闘劇。完全にブライアン・ユズナの独擅場であり、ゲロゲロのスプラッター劇場が展開される。全体的に、"嫌な予感の釣瓶打ち状態"を楽しむための、グラン・ギニョール(ゲテモノ・ショー)という印象。
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