FRANCIS

惑星ソラリスのFRANCISのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.5
海と雲に覆われた未知の惑星、軌道の基地へ父を残して旅立った宇宙飛行士。

潜在意識を具現化する知性を持つ海、印象的な揺らぐ水の表現に、浮遊感を伴う映像美。近未来の地球を表現するために映し出された東京の首都高速。

亡き妻の面影に映る深い哀愁。科学の発展で解決できない、心の内に潜む問題。難解で哲学的な物語構造に込めた、極限状態で翻弄される人間性。

抑圧的で閉鎖的なブレジネフ体制のソ連社会で、検閲により創作活動が儘ならない環境下の芸術家を表現するためのSFによる婉曲表現。

スターリン没後に流入した自由な西側文化に親しみ、ウクライナ人の父を持つアンドレイ・タルコフスキーが内なる視点から描いたロシア。今も脈々と受け継がれる専制的な体制への反抗意識は、巧妙に取り繕われながらも随所に見え隠れする。
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