江利チエミのサザエさんシリーズ第６作。結婚生活を送るサザエさんとマスオさんだったが、両親と弟妹との同居であるため、２人っきりになるチャンスが全く無く…という話。相変わらず元気でユーモラスで人の良さそうな江利チエミがハマっている。
途中、サザエさんやマスオさんの同僚が、電化された台所に憧れるシーンが出てくるが、家庭が電化される前の主婦の労働たるやどれだけ大変だったことかと思う。一方で、電化によって家庭と地域との結びつきがどれほど弱まったことか、とも。
そしてラスト、サザエさん夫婦は、社宅のアパートに当選し笑顔で両親の家を後にする。原作漫画とは異なる展開に、もしかしたら、原作は既にこの時点で、核家族化が進行する現実社会に対するファンタジーだったのではなかろうか、と思った。
