冒頭シーン、顔を撃たれ瀕死の状態でパトカーで病院に搬送される警察官セルピコ。
幼少から憧れの警察官になるも、そこは汚職や賄賂に塗れた現場だった。
自らの正義を貫き、周りの同僚から裏切り者扱いされながらも、五年に渡り、それを耐え抜き、警察の腐敗、不正を内部告発に至った信念の男、セルピコの物語。
実話を基にした映画だが、この主人公、アルパチーノ演じるセルピコの人柄が実にユニーク。
確固たる信念を持ち、自由を愛し、私服捜査を好むセルピコ。
長髪にヒゲを生やし、ヒッピーさながらの格好で、正義を貫く。
勲章の金バッジなんか要らないと言い放ち、型にはまらず、真実を追い求める生き様に痺れる。
警察内部告発と言うありがちな設定に、セルピコのキャラクターのコントラストが痛快。
物語の序盤から中盤に掛けてのセルピコの私生活を描くシーン。
躍動感があり、観ていて楽しい気分になる。
こういったシーンの差し込みが、セルピコの人間性を巧みに描き、単なる社会派ドラマとは一線を画した深みのある魅力的な作品に繋がっている。