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セルピコのnagarebosiのレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
4.8
開始5分で良い映画の薫りがした。
私好みの、ひじょうに重たく心にズシンと響く作品。
正しいことを貫くが故に周囲に敵を作ってしまうつらさは、長いものに巻かれてしまう私でも共感してしまう…。
とかく現場では良くも悪くも "なあなあ " な状態が常態化していると思うが、闘うと上層部もそういう体質であることがままある。私などは呆れて「俺は俺のやり方で勝手にやらせてもらう」と割り切ることもあるが、基本は右に倣えの体質なので、セルピコのように貫くことは出来ないでいる。だからこそ、こういった作品や主人公には強く共感し応援したくなるのだ。
組織間の駆け引きや政治的な判断で曇っていく正義。彼は何を目指していたのか…。ラスト辺りの金バッジを胸に置かれた時の涙は、私の胸に強く残る…。

アル・パチーノのリアルな感情は「ヒート」よりも遥かに観る者に訴えかける強さがあり、ルメット監督の容赦ない批判は、さすがの一言。
私の心を揺さぶり続ける、だからこの時代の作品群は好きなものが多いのだ。