トライン

ポセイドン・アドベンチャーのトラインのレビュー・感想・評価

3.0
大晦日の夜の豪華客船は津波に飲まれ横転した。乗客たちはパーティ会場から脱出しようとするが陣頭指揮を取る牧師の言うことを素直に聞く客は少なく、大多数が火災に巻き込まれてしまう。その後も様々な言い争いを経ながら何とか船外に脱出しようとするのだが…、という話。



パニック映画の金字塔、というよりもはや走りの映画で、一時期不景気だったハリウッドを救うに至ったほどの大名作である。この映画をきっかけにパニック映画が増えたというほどのヒット作だったものだから、この映画自体も4回も作られていたりする。最も、最新作は2006年でゴールデンラズベリー賞を取るほどの駄作っぷりなのでは在るのだが。



当時の小粋なキャラクター性がありながらもシニカルに危機に立ち向かうという姿勢が、なるほど当時の人にはだいぶ新鮮だったんだなと思わせる作りなのもまた面白い。一生懸命にそれぞれが思案し時にはぶつかりながらそれぞれをまっとうする姿すら美しいところでも在る。



とは言え、現代の話立てとはだいぶ違う感じも在るので、今そんな感じでこんなことになるの?というリズムの悪さを感じるところもあるのだが、それはそれでパニック映画らしい理不尽さを感じるのに一役買っているとも言える。



惜しむらくはラストに向かっての尻切れ感がややあるところか。それこそ古い香港映画の敵を崖から落として「終劇」の大文字で終わるような印象で、もっと最後にこそそれぞれの心象やお題目だのをほしい感じもある。



これも昨今の説教臭い映画に慣れ親しんだ副作用かもしれないが。
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