葛西ロボ

ポセイドン・アドベンチャーの葛西ロボのレビュー・感想・評価

5.0
 小さい頃家にあったタイタニック(VHS)の下巻ばかり見ていた自分にとっては、もう楽しいところしかない映画。メインになる人物を撮り終わったら手っ取り早く転覆。天地のひっくりかえった船内、迫りくる海水、行く手を阻む炎と、決して安っぽくないセットで臨場感は満載。そこに人間ドラマも交えながら、目的はただ一つ。生きるために上を目指す。面白くないわけがない。
 メインになるのは転覆前の説教で神に頼るな、努力する者にのみ神はどうたらと説く神父。その言葉通り、彼は生き残るためにひたすら考え、行動を起こし、一人でも多くの命を救おうとする。しかし、彼の示す道も正直なところ説得力には欠けて、むしろなんでこの人は正しい道ばかり選ぶことができるんだ?と思う部分もある。神の使いにも程があるというか、ほとんどモーゼ。
 最初の天地がひっくりかえるシーンは見ていて映画というものの異化効果を実感するほどすごいんだけど、ただ一つ椅子と机が完全に固定されていることだけは気になって仕方が無かった。